提供経験を話すことで登録が増え、多くの患者さんが助かるかもしれない、とインタビューに応じてくださった高木さん。「提供は自分にとって人生観が変わるくらいの出来事だった」と語ります。

日頃から献血に協力していたという高木さん。10年ほど前、献血会場に置かれた骨髄バンクのパンフレットを見かけ、元白血病患者である奥さまの「登録してみれば？」というひと言をきっかけに登録した。「妻もそう言うし、最初は"登録だけならいいか"と軽い気持ちでした」

登録から5年後、適合通知を受け取った。
「登録したこと自体忘れていたし、本当に適合するんだと驚きました。でも、誰かの命を救える機会なんてめったにない。断るという選択肢はなかったですね。妻も賛成してくれました」
仕事を休むことになるため勤務先の社長にも相談した。「最初は私の身体を心配したようで反対されましたが、最終的に理解してくれました。同僚も業務をフォローしてくれ、助かりました」

３泊４日で骨髄提供することが決定した。「リスクについては理解していましたが、その不安よりも患者さんの役に立てるという気持ちの方が大きかったです」と高木さん。
「医療スタッフの方々は明るく親切で、入院中もとても快適でした。提供が終わり麻酔から覚めたあとは、腰に少し違和感があるかな？というくらい。退院後すぐにキャンプに行けるほど元気でした」
提供から１年後には、このときの患者さんからDLI提供を依頼され快諾。こちらも難なく終えた。

「ドナーになった自分を誇りに思いますし、こんなにたくさんの人に感謝されることは初めてで、人生観が変わったような気がしました。本当にドナーになれてよかった。ドナー登録を検討している方、候補者に選ばれて提供を検討している方にもこの気持ちが少しでも伝わって、1人でも多くの患者さんの希望になっていただけたらうれしいです」