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25年前、ほぼ同い年だった従姉妹が白血病を発症し、帰らぬ人となりました。遠くに住んでいた私は、何もできないまま時間だけが過ぎていき、無力感ともどかしさだけが心に残りました。その悔しさを少しでも埋めたいという思いから、沖縄で骨髄ドナー登録をしました。「いつか、誰かの力になれたら」――それが原点でした。
登録から16年以上が経ち、45歳を過ぎたある日、オレンジ色の封筒が届きました。患者さんと適合したという知らせでした。ようやく願いが叶った瞬間で、心の底からうれしさが込み上げてきました。正直なところ、高額な宝くじが当たるよりもうれしかった、と感じたほどです。
母と妻は迷いなく賛成してくれました。一方で父は、当初は体への負担を心配して反対していました。しかし、採取方法や安全性について丁寧に説明するうちに理解してくれ、最終的には家族全員が前向きに私の決断を応援してくれるようになりました。食事や生活面でも家族の支えを強く感じました。
会社では、ドナー休暇制度が整備されておらず、これまでに前例のないことだったのですが、特例として「裁判員制度」に準じた扱いで、有給・無事故として勤務調整を行ってもらうことができました。一週間近い休暇が必要でしたが、制度を柔軟に運用してもらえたことに感謝しています。職場の反応も、予想以上に温かいものでした。とても協力的で、忙しい時期にもかかわらず「いつでも受けていい」と背中を押してくれました。その理解と応援は、大きな心の支えになりました。
私の住んでいる区のドナー助成制度を利用しました。検査で入院した日数と入院日数の合計10日分の給付を受けることができました。金銭的な負担が軽減されることで、安心して提供に臨むことができました。
採取は、私自身が希望した病院で行われました。医師や看護師、日本骨髄バンクのコーディネーターの皆さんが常にドナーの立場に立ってくださり、想像していた以上に手厚いサポートを受けることができました。骨髄採取は全身麻酔になりますが、不安はほとんどなく、穏やかな気持ちで当日を迎えました。
痛みについては多くの方が気にされる点だと思いますが、私の場合、骨髄採取後の傷の痛みはまったくといっていいほどありませんでした。全身麻酔から目が覚めた瞬間、「またやりたい」と思ったほどで、貧血なども特になく、退院まで体力の回復は順調でした。合併症のようなものもなく、2日後には退院し、さらに2日後には職場に復帰しました。その後も後遺症のようなものもとくにありませんでした。
手術後ほどなくして、採取を担当してくださった看護師さんからお手紙をいただきました。「今日という日が、患者さんにとって第二の誕生日になります」その一文に、胸を強く打たれました。不摂生を続けてきた自分でも、誰かの人生に希望を届けることができた。その喜びと感謝の気持ちは、今も心の中に溢れています。未来に対する希望が、自然と湧いてきました。私は1回の提供だけでドナーを卒業する年齢となり、再度の提供はできませんでしたが、これからは別の形で貢献できればと考えています。
実施を決断するまでには、仕事や家族、体への不安など、さまざまなハードルがあると思います。それでも、あきらめないでほしいと思います。ドナーの経験は、私にとって人生最大の宝物です。今忙しいからと迷っている人も、怖いなと思っている人も、これを読んでもうちょっと前向きに考えてみようかな、と思っていただけるとうれしいです。
日本では「骨髄バンク事業」が1992年から開始され、 これまでに多くの患者さんを救う実績をあげています。 しかし、日本の骨髄バンクで骨髄移植や末梢血幹細胞移植を必要とする患者さんは、毎年少なくとも2000人程度です。一人でも多くの患者さんを救うためには、一人でも多くのドナー登録が必要です。
ドナーを待つ患者さんにとっては、あなたの登録が、大きな希望になります。
患者さんの負担を軽減するために、寄付のご協力をお願いしています。
骨髄バンクの運営には多額の資金が必要です。公的な補助金も受けていますが、十分ではありません。運営資金の多くは患者負担金と善意の方々の寄付金によって支えられています。移植を待っている患者さんのためにも皆さまのご協力をお願いします。