31歳で提供した渡邊さん「末梢血幹細胞提供は人生を考え直す機会になった」と語ってくれました。

PROFILE
渡邊 稜介(わたなべ りょうすけ)さん
東京県在住
入院をするのは初めてでしたが、入院してしまえば「医療関係者の皆さんが近くにいてくれるから大丈夫だろう」と不安はありませんでした。ただ何をもっていけばいいのかが分からないから、YouTubeを見たり、ブログの記事を読んだりして、S字フックや使い捨ての箸やスプーンを用意しました。
入院は5泊6日でした。部屋は大部屋でしたが、結局一人部屋状態の日も多かったです。入院中の暇つぶしとして映画を見ようと思ってタブレットを持ち込みましたが、案外長時間映画を見るのは疲れてしまって、病室から本を注文して病院のコンビニで受け取って読んでいましたね。あと、これから入院する方へのアドバイスとしては、他の人の生活音が気にならなくなるノイズキャンセリング機能のあるイヤホンと、長い充電コードがあるといいと思います。ちょうどその頃見たいと思って準備していた映画はサスペンスやミステリーものが多かったのですが、病院ではどうにも見る気になれなくて代わりにコメディや明るい映画を見ていました。採取までは結構暇で単調な日が続くので、毎日のご飯と入浴が楽しみでした。私が入院した病院はおかずの量に対してご飯が多かったので最初はご飯が残って大変でしたが、徐々に調整できるようになりましたね。
入院前は「入院するまで体調を崩さないこと」が一番大変だと思っていましたが、そんなことはなかったです。白血球を増やすために投与する毎日朝晩2回の注射自体が痛かったですし、G-CSFの副作用である腰と背中の痛みと頭痛があって、座っているのが少し大変でした。ただ痛み止めが飲めたので、寝ているしかないみたいな状況では無かったです。
採取については、最初ストローくらいの太さの針を刺されて「痛くなければこれで始めます」と言われたのですが、痛くて我慢できなかったので成分献血と同じくらいの太さの針に変更してもらいました。血液の出が悪くて採取に時間がかかるかも、と言われたものの、想定より早めに終了しました。
採取の最中は動けないので、目の前のドラマをぼーっと見て、時々医療従事者の方たちとお話ししていました。両腕には痛みと違和感の間のような感覚がありました。
退院後に仕事復帰した時若干頭痛があって、それが副作用なのか疲れなのかはわからなかったですが頭痛薬を飲んで対処した程度で、日常生活に戻るのにそんなに支障は無かったです。
実際に救えているかはわからないですが、私の提供そのものが患者さんの希望になるんだろうと思うと、達成感はすごくありました。だから、もう一度適合通知が届いたらまた提供すると思います。「次は骨髄採取で全身麻酔か~大変だなぁ」とはちょっと思いますけどね。(※)
職場の同僚に提供の話をしたところ、その方の奥さんが自分の話をきっかけにドナー登録したそうで、すごい行動力だなと思いました。
人生の中で立ち止まる機会って何度かあると思うのですが、私にとって末梢血幹細胞提供がその機会でしたね。両親といろいろなことを話すきっかけになりましたし、「これから先の人生、グダグダ生活していていいのか!?」と考えるきっかけになりました。