「社会貢献のチャンスをいただけてありがたい」大学時代に適合通知を受け取った尾﨑さんが提供談を語ってくれました。

PROFILE
尾﨑 皐(おざき さつき)さん
滋賀県在住
適合通知は実家に郵便(現在はSMSで通知)で届きました。当時、大学の研究室に入ってすぐのことでしたが、その頃ちょうど大学生活に悩んでいる時期で、社会の役に立っていないと感じていたので、適合のお知らせは率直に「社会貢献のチャンスをいただけてありがたいな」と思いました。
ドナー登録をしたことは覚えていたのですが、人生で1回は適合するといいなと思っていて、「思ったより早く適合通知が来たな」という印象でした。提供に対してはあまり恐怖心はなく、複数人適合通知が届いている中の「自分が選ばれたらいいな」と思っていました。そのため、確認検査を行ってからドナーに決まった通知が来るまではそわそわしました。
家族は、母親の身近な人で白血病を患った方がいて、ドナーが必要という経験があったそうで、私が提供することにも理解があり、むしろ「やってくれたらうれしい」と言われました。
リスクについては、コーディネーターさんからの説明を聞き、重大な事故は少ないと感じました。また、医師もコーディネーターさんも「あなたの健康が一番大事」と言ってくださったので、安心して提供に進めました。入院のスケジュールに調整できるか不安があったのですが、私の場合は結果的に自分の都合に合わせてもらうことができ、スムーズに提供まで行けました。
入院についても不安はなく、むしろ初めての経験にワクワクしていました。全身麻酔ももちろん初めてで、ドラマでしか見たことなかったので「どんな感じだろう」という少し楽しみな気持ちでした。実際、注射をされたら本当に気を失うような感じで、10秒もしないうちに意識を失い、目が覚めた時は「あれ、もう終わったん?」という感覚でした。
手術が終わってすぐは麻酔が効いていて採取したところは痛くありませんでした。麻酔が切れたときに「ちょっと痛いな、もし強い衝撃が加わったら腰砕けそうだな」と感じたのですが、それも1日ほどで回復しました。
手術自体は順調に終わりました。これからドナーになるみなさんに1つ、アドバイスがあります。それはふりかけやポテトチップスなど味の濃いものを持参することです(笑)。ドナーになる方は私と一緒で、入院経験がない人が多いと思います。健康な体での入院ですので、食事を楽しめるように味の濃いものを用意していくといいと思います。おすすめはふりかけです!
無事に退院した次の日には友達と京都に旅行に行きました。ホテルの周辺でちょっと楽しむ感じでしたが、夜に集合写真を撮るときに、顔が引きつっていました。採取部位が痛かったというより、シンプルに疲れがでたみたいです。旅行自体はすごく満喫することができました。(採取後1週間程度は過度な運動は重労働を避けるよう骨髄バンクから連絡があります。)
筋肉がある人が荷物を持つべき、力があればその力を周りのため、社会のために使う責任があると私は考えており、提供できる体があるなら、提供するべきだと思ったので、提供しました。
実際に提供してみて、痛みや負担は大したことないなと思いました。今まで怪我や病気をしたことがなかったので、献血や骨髄バンクのドナー提供ができる健康体なのはとてもありがたいことだということに気づく機会を得ることができて、逆に幸運だったと思います。
また、周囲の方のサポートにもすごく感謝しています。家族も、大学の教授や研究室のメンバーも「そういう社会貢献なら応援するよ」と言ってサポートしてくれましたし、私が提供したという話をしてから、友人が2人ほど「自分も登録した」と報告してくれました。