知られざる骨髄ドナーの現実をマンガで描いた水谷さんにお話を伺いました。
献血が昂じて骨髄ドナーとなり、夫も骨髄ドナー経験者という珍しい夫婦の体験談を描いた『骨髄ドナーやりました!』(少年画報社)。
マンガアプリでの連載を終え、2020年に単行本が発刊されました。
知られざる骨髄ドナーの現実をマンガで描いた水谷さんにお話を伺いました。
PROFILE
水谷(みずたに)さるころさん
2011年ドナー登録
2018年骨髄提供
自分は特殊かもしれないけれど、この「大変だあ」という状況が面白い。好奇心が強いので、知らなかったことを体験するのが面白いんです。もともと血液が出ていくのを見るのが好きで、献血が趣味。しかも全血が大好きです。採取ではいろいろあったけれど、誰かの役に立ったという達成感に比べたら、マイナートラブルはよもやま話。思ったよりは大変でしたが、もうやりたくないとは全く思いません。
本当は、「こんなに大変だったと描いたら、ドナーになる人がいなくなってしまうのは?」と思って、描かないほうがいいと思ったんです。でも周りでぜひ描いたほうがいいと言う声が多かったので、描くことにしました。知らないことのほうが多いから、逆に知りたいという人はいっぱいいますね。マンガを描くと決めたら、体験したマイナートラブルはネタの宝庫になりました。
ドナーは健康なだけで人の役に立てる。そんなのほかにない、最高だと、ポジティブな気持ちになれます。世のため人のためというよりは、自分の健康が人の役に立つことが楽しい。健康に生まれたこの体を使って人の役に立てて、喜ばれたら自分も嬉しいですよね。役に立つところに達成感があるんじゃないかな。
献血が好きなのもそうですね。血管をほめられるのも私の才能。へこんだり、仕事でうまくいかないことがあっても、こっちの才能でほめてもらおうと思える。友達には「献血に行くと自分の健康が役に立って、仮眠もできて、やさしくしてくれるよ」と言っています。
達成感とか、ほめられる感じを出すのがいいかも。ポジティブな自己評価をアップできるというのが献血の魅力。私はどこかで失敗しても、献血すれば人の役に立って自己評価が上がります。ドナーもその延長です。
献血したりドナー登録したりすると、ネットで「偽善者」とか「自分が気持ちよくなりたいだけだろう」という声があるそうですが、「それの何が悪いの?おまえも気持ちよくなっちゃえよ」という言葉しか返せない。「一緒に気持ちよくなろうぜ~」と言いたい。「すごくいいことをしましょう」だとハードルが高いけど、提供できる健康な体をしていることをポジティブにとらえられると意識が変わるのでは。
私はドナーになったことを面白いと受け取ったので、面白半分でもいいんじゃないかな。
提供後に厚労大臣の感謝状をもらったのはインパクトありました。好奇心があるから、いろんなことが見えてよかったです。同じ骨髄提供経験者として夫との比較対照もできました。
ひと言でいえば、人が喜んでくれて自分もうれしい。
もう1回適合通知がきたらですか?次は末梢血幹細胞提供がしたいです。そしてマンガの続編を描きます(笑)!