毎号ひとりのドナー登録者さんにフォーカスし、その方の日常や支援の想いを、写真家・幡野広志さんの視点で切り取っていただく企画。撮影いただいた写真は、骨髄バンクニュースの顔として表紙にも採用されています。ふだんは見ることができないありのままのヒーロー(登録者)の姿をご覧ください!
旅先でも初対面の人から声をかけられる中村さん。取材中も終始笑顔の絶えない方だった。
39歳の会社員。高校卒業後、アメリカと韓国で農業や植物機能を学ぶ。現在は製薬会社で品質管理の仕事に従事。旅先で献血を続け、これまでに140回以上実施。きっかけは「誰かの役に立ちたい」という自然な気持ち。骨髄バンクにも登録し、静かにできることを重ねている。
本のしおり代わりに持ち歩いているという、献血ルームで受け取ったメッセージカード。
献血で訪れた街を塗った日本地図は、控えめに見せるにはもったいないほどのものだった。
誰かの力になりたくて
地図を塗る献血の旅
「あまり話が上手じゃないので……」
iPhoneで録音を開始した直後に中村さんから細い声でこういわれた。わざわざ断りをいわれなくとも声のトーンでしっかりと伝わっている。初対面の人間と会話して、撮影までされるこの企画によく応募してきたなと思ったけど、ふりかえればこれも中村さんらしさなのだろう。

中村さんは高校卒業後にアメリカの短大へ進学して農業を学んだ。その後さらに韓国の大学へ進学。植物の機能について研究した。英語も韓国語もしゃべれなかったけど、現地での生活を通じて習得したそうだ。ネイティブスピーカーと会話して言語を習得したのだから、かなりの努力をしたはずだ。
現在 39歳、大阪の製薬会社で品質管理の仕事をしている。原料や製品に不純物がないか、水分量のチェックなどをしているそうだ。できるだけ残業をせず、なるべく飲み会などにも参加せずに働いている。
休日はスーパーで買った食材で料理をする。それから小説を読むことが多い。この日、カバンにはいっていた本は図書館で借りた『アルジャーノンに花束を』だった。本の後半部分にメッセージカードがしおり代わりにはさまれている。「けんけつしてくれてありがとう わたしはげんきにがっこうにいけてます ほんとにありがとうございます」と幼い文字で書いてある。

中村さんは三ヶ月に一度くらいの頻度で一人旅をしている。直近では長崎に行った。車やバイクは使わず公共交通機関を利用して、現地では歩いて観光地を巡っている。少し変わっているのが旅先で献血をすることだ。西日本を中心に日本の大半が塗りつぶされた地図を見せてくれた。塗りつぶした都道府県は中村さんが献血をした街だ。地域によって献血ルームでもらえるお菓子(※1)が違うそうだ。沖縄ではちんすこう、仙台は牛タン味の菓子がもらえる。これまでに140回ほど献血をしている。韓国でも献血をした。
中村さんは献血したときにもらったメッセージカード(※2)をしおりにしている。献血をする理由は人の役に立ちたいという気持ちからだ。誰かから教わったわけではなく、子どもの頃から自然とそう考えるそうだ。
中村さんのおかげで人生が変わった人が日本中に何人もいると思う。学校にいけるようになったり、仕事ができるようになったり、結婚したり育児ができた人もいるかもしれない。孫と遊ぶことができた人もいるかもしれない。

骨髄バンクにドナー登録したのは5年前。きっかけは水泳選手の池江璃花子さんが白血病になったニュースがきっかけだ。まだ一度も適合通知が来たことはない。中村さんはぜひ骨髄も提供したいと明るく前向きな表情でいう。
献血事業を担っているのは日本赤十字社で日本骨髄バンクとは別組織だ。だけど献血している層と骨髄バンク登録をする層はたぶん重なるのだと思う。考え方の根底にあるのが「人の役に立ちたい」だからだ。

中村さんがいつも買い物するスーパーで撮影をした。撮影だから商品をカゴにいれるだけで、実際には買わなくていいのだけど、中村さんはお茶を3本買っていた。それを東京からきた我々取材スタッフ3人によかったら飲んでくださいと渡してくれた。こういう人なんだよなぁ。
  • ※1 会場や季節により用意されているお菓子は異なります。一部会場ではお菓子の用意が無い場合もあります。
  • ※2 全会場で配布しているわけではなく、配布していない会場もあります。
写真・文 幡野 広志
がん患者の率直な想いをブログやSNSで発信している写真家。34歳の若さで血液がんの一種である多発性骨髄腫を発症し、余命宣告を受けた経験を持つ。
撮影協力
食品館アプロ 旭店 / 風の本屋
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骨髄バンクでは、白血病などの患者さんがドナーからの提供を必要としています。しかし、実際にドナー候補者として選ばれても、さまざまな事情から辞退されるケースが少なくありません。その中でも「職場に迷惑をかけてしまうのでは」という不安が大きな理由の一つです。ドナーとしての一歩は、勇気が必要な決断です。そしてその背中をそっと押してくれる制度の一つが「ドナー休暇制度」です。

そんな制度の存在が、先日SNSで多くの注目を集めました。この投稿は(2025年6月現在)約16万件の「いいね」と、2万件以上のリポストによって瞬く間に拡散され、多くの共感の声が寄せられました。「若者の勇気と尊い志を潰さないでくれてありがとうございます。」「素敵なポストを見てドナー登録の資料請求しました!」といったリプライも多く、制度そのものの大切さに気づいたという人も。
Xでの「うちの会社では考えられない」という反応には驚きつつ、私たちにとっては、社員の行動をきっかけに自然と導入できた制度でした。導入は比較的スムーズでしたが、規則の文言修正には少し迷いました。導入後、ドナー候補になった社員が社内勉強会で制度や献血について話してくれたことで、社内の意識も少しずつ変わっていったのが印象的でした。今後こうした動きが他社にも広がればと願っています。
ドナー休暇制度とは、骨髄や末梢血幹細胞の提供にあたって、必要な検査・入院・通院・回復のための休暇を、特別休暇として取得できる制度です。提供までには10日程度の通院・入院が必要になります。その間、年次有給休暇を使うことなく特別休暇として休めるよう、制度として用意しておくことが、ドナーの大きな支えになります。現在、ドナー休暇制度を導入している企業はまだ少数。法律で義務付けられているわけではないため、導入には企業の理解と意志が必要です。

ドナー休暇制度について詳しくは、「ドナー休暇制度導入のお願い」の動画(二次元コード先)をご視聴いただければと思います。不安を抱えるドナーの方、ドナーを支えたいみなさん、ぜひお勤め先へ制度の導入についてお話をしてみてください。
ドナー休暇制度
導入のお願い
連絡が取れないことで、
命を救う機会を
失ってしまうかも
しれません。
携帯電話番号が変更になった方、
まだ登録されていない方は速やかにお手続きください。
適合通知はSMS(ショートメッセージサービス)でもお送りします。
ドナー登録者の登録情報の変更は日本赤十字社へ。

それ以外のお問い合わせは
日本骨髄バンク(03-5280-1789)へお願いします。
3月1日から始まった本キャンペーンでは、フォロワー3万人を目指して、フォロー&リポストだけで参加できるプレゼント企画「Xチャリティチャレンジ」や、ラジオ番組「#つなげプロジェクトオレンジ」を全国コミュニティFM100局でオンエアする企画を展開しました。目標の3万人には届かなかったものの、多くの方々にご参加、ご協力いただくことができました。キャンペーンは終了しますが、今後もXを通じたつながりづくりを続けていきます。
骨髄バンクドナー登録や献血の必要性を伝えることを目的に、プロスノーボーダーの荒井"DAZE"善正さんが代表を務める一般社団法人SNOWBANKが主催する音楽フェス型イベント。
今年で4回目の開催を迎えた本イベントに、骨髄バンクも参加しました。音楽ライブと併せて献血やドナー登録会が実施される中、私たちの活動をより身近に感じてもらえるよう、タトゥーシールの配布やアンケートを通じて、来場者との交流を図りました。THE BANK2025では、74名が献血に協力し、33名が新たにドナー登録。支援の想いを軸に出演者、来場者、スタッフ、みんなが心をひとつにした、希望に満ちた一日となりました。
5月3日に開催された2024-25 大同生命SV.LEAGUE CHAMPIONSHIP Finalsにて、骨髄バンク支援の感謝を込めた「#つなげプロジェクトオレンジシート」を設置し、骨髄バンクの認知拡大を図りました。
SVリーグのみなさまのご協力のもと、「#つなげプロジェクトオレンジシート」に総勢41名の方をご招待。観戦前には骨髄バンクの現状について簡単にお話しし、全員でお揃いのオレンジタオルを持って応援しました。男子の試合はデュースを繰り返す白熱の展開、女子は大阪マーヴェラスが優勝を決めるなど、感動の1日となりました。今後も「もっと、つながる。」骨髄バンクとして、多様な形で私たちの活動を届けていきます。
みなくち
骨髄バンクメンバーになり2年。
趣味は合唱と漫画読み。
すずき
骨髄バンクメンバーになり11年。​
趣味はゲームとカラオケ。
ついに・・・ドナー登録者、累計100万人を突破しましたね🎉
いま骨髄バンクニュースを読んでくださっている方を含め、これまでに骨髄バンクに関わってくださった方のご協力が積み重なって実った快挙ですね🥺
ドナー登録が始まった1992年1月当時、ドナー登録はもっと大変だったようで・・・。電話などで「チャンス」を取り寄せてから、付属している登録予約ハガキを送付して、登録の日時を決めないといけなかったみたいです。
今は全国の献血ルーム・バスなどで予約なしでできますから、全然違いますね!
そんな時代から応援してくださった方々がいて、今も新たに応援の輪に加わってくださる方も増えている・・・関わってくださったすべての皆さんに心から感謝です✨
そのとおりですね💪
まずは一区切り。累計100万人登録、ありがとうございます🎊
ここからまた、新しい一歩を踏み出していきましょう✨
ご寄付のお願い
移植を待つ患者さんのためにお力を貸してください
ドナー登録者の
大卒業時代がやってくる?!
骨髄バンクへの登録には年齢制限があり、満55歳の誕生日で登録取り消しになってしまいます。
15年以内には、現在の登録者のうち約60%の方々がいなくなってしまうという危機的状況に…!
骨髄バンクは、多くの方に骨髄提供について知って頂き、特に若い方にドナー登録を考えて頂けるよう活動しています。
課題解決のため、いただいたご寄付が
ドナー登録者を増やす活動に役立っています。
みなさまからいただいたご寄付は、ドナー登録会の開催や普及啓発資材の作成などに使用しております。より多くの患者さんに移植の機会を届けられるよう、みなさまの温かいご支援をお待ちしております。
寄付にはさまざまな方法があります
ネット募金からメルカリを使った寄付まで、手軽にご寄付いただける方法が多数ございます。
寄付の詳しい方法などは、こちらからご覧ください。
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